養子縁組
あの日…あっちゃんは、結婚の条件として、「養子」に入ることを伝えた。
彼(今は娘婿)は、即答した。
「分かっています。こちらはなんの問題もありません。」
結婚式でも…「新婦の父」の挨拶の時間を頂き…長々と最後の最期の挨拶をしていた。
今思えば…その話は、入念に練られ構成された文章であったように思う。娘を核とした関わりのある方々に感謝の気持ちを綴っていた。そして…自分が信じる親鸞聖人の言葉を交え「これから生きる若者に」向けて励ましの言葉を言っていた。
そして…最後の最期に、「養子」として迎えることの喜びと感謝を…相手方のご両親と本人に向け、深々と頭を下げ・・・語っていた・・
今思えば、自分の死を知っていたかのように・・・
今思えば、お別れの挨拶でもするかのように・・・
挙式後2ヶ月…
たった・・・2ヶ月で他界した。
そして…
あっちゃんが他界した今…「養子縁組」のことなど忘れかけていた私。
どうでもよかった。
今更…苗字を変えるのも・・どうかとも思ったし、私だって、いつまでここにいるか分からないし…と。
でも…娘は違っていた。
「これはお父さんとの約束だから」
今月・・・養子縁組をする。
あっちゃん…
喜んでいるだろうなあー。
