鬼嫁奮闘記①
カーテンを開けると、見慣れない風景が広がっていた。
夏・・・
始まったばかり!
朝から、夏が来たことを喜んでいるかのように蝉の大合唱。
「初盆のことだけど・・・」
朝っぱらから声をかけられ、蝉の鳴き声のように鬱陶しく感じ・・・
出て来てしまった。
何故だろう。
鬱陶しい!
こんな時、本当は肩寄せ合い、支え合わなくてはならないということは、よくわかっている。そうしたいとも思っている。
だけど・・・・何故か息苦しい。
あっちゃんが、息を引きとった直後だった。あの時私は、娘と義父母と手を取り合って泣いた。肩を寄せ合って泣いた。そして慰め合った。
私は言った。
「任せとき!」と。
胸を叩いても見せた。
義母は、言った。
「義弟もね!」
「もちろん」
本当にそう思った。
あの時は・・・私が全てを背負ってやろうと。
だけど、今・・
冷めてしまった自分がいる。
現実が見えるようになったと言った方が正しいかもしれない。
私には、あっちゃんの代わりはできそうにない。
嫁はやめたんだった。
これから、
本当の闘いが始まる。
