リリィ・・・
「リリィがあまり動かなくなった!」と、義母から娘に電話が来た。
次の日が土曜日だった事もあり娘家族は、急いで実家に帰ることにした。
リリィ…は、あっちゃんから娘へのプレゼントだった。
今から16年前…我が家に・・・突然やってきたミニチュアダックスフンドである。
それは、手のひらに乗るほどの大きさでとても可愛いかった。ぬいぐるみのようだった。二人(主人と娘)は奪い合うように自分の手のひらに乗せ胸に抱き喜んだ。
その可愛いミニチュアダックスフンドに、私の実母の名前の一文字をとって「リリィ」と名付けたのも二人だ。多分それは、家で飼う事を私に了承してもらいたい…と思った主人と娘の策略だった。
確かに可愛いかった。
数日…我が家で飼った。「過ごした!」と言った方が正しいだろう。
しかし…、
夜中、小さい声ではあったけれどリリィの泣き声が気になった。私も仕事をしているので、日中留守にする家では、食事や散歩などの世話ができないという実態もあった。
そこで、リリィは、我が家ではなく義父母の家で飼う事になった。義父母の家と言っても、同じ敷地内にあるスープも熱々状態で冷めない距離だから…しぶしぶではあったが娘も了承した。
あれから16年…。
リリィは、飼い主である娘の結婚式もあっちゃんの「死」も見た。なっちゃんが生まれ…なっちゃんとも仲良しになった。
そのリリィが年齢のせいもあるのだが、この頃元気が無くじっとしている事が多い…と連絡があったのだ。
義父母が病院へ連れて行くと、肝臓が悪くなっているそうで、尿の色は、「黄色」をしていると…。
あっちゃんと同じではないか!
肝臓! 黄色!
黄色く流れた最期のあっちゃんの涙を思い出した。
もしかしたら…そう長くは生きられないだろう…と言われたらしい。
1月20日
主人の祥月命日。
主人が呼んでいるのかなぁーと思う。
「リリィー」って…
なんか聴こえてきそう…
