クリスマスの悲劇 その1
クリスマスと…言えば・・
主人が緊急入院する5日前のクリスマス・・・
私は娘がお婿さんを連れて…「初の里帰り」をする為昼過ぎから年末の大掃除に力を入れていた…。
いつもなら、見過ごすような場所までも…
娘が帰ってくることが…
それも二人で…
嬉しくて・・
楽しくて・・
軽快な音楽をかけながら掃除をしていた。
私の家は、道路に面したリビングの窓は円形になっていて、そのリビングの出窓の下が収納庫になっていた。色々な小物が入っているのだが、その一角が主人の釣り道具置き場だった。釣り針だの仕掛けだの疑似餌だの…釣り糸だの…重り等沢山あった。
海の底で釣り上げてしまった貝殻の付いた石までも(私にはゴミにしか見えないが…)。その石に釣り針が2、3個ささっていた。
それを手にした時・・・
チクリッ!!
針が右か左が忘れてしまったが、薬指に刺さった。
痛っ!
たかが・・・釣り針だから・・
自力で抜こうとした。
しかし、
釣り針には、魚の口から抜けにくくする為の突起「カエシ」がついている。それが…
引いても押しても…
にっちもさっちもいかなくなった。
しかも…その場から動けない!
その釣り針をよく見てみると、しっかりと釣り糸に結ばれているではないか!
その釣り糸はどこかで絡み合っていた。見えない…後ろの方のどこかにつながっている様だった。
私の指は、そのままの状態で動かせない。
私も、釣り糸を切りたくて、ハサミを取りたくても…
何か切れるものをその場で探したが見当たらない。
その場から動けない。
どうしよう…
どのくらいの時間闘ったのだろうか。辺りは薄暗くなっていたことに気づいた。
18時はとっくに回っていた様に思う。
主人の帰りを待とうか!
血が流れ出ている訳でもないから。
しかし、クリスマスだし…!
ポケットを探り仕事中の主人に電話することにした。
「私・・・
釣られたみたい…!」
つ づ く