絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

クリスマスの悲劇   その1

 クリスマスと…言えば・・


 主人が緊急入院する5日前のクリスマス・・・

 私は娘がお婿さんを連れて…「初の里帰り」をする為昼過ぎから年末の大掃除に力を入れていた…。


 いつもなら、見過ごすような場所までも…

娘が帰ってくることが…

それも二人で…


 嬉しくて・・

 楽しくて・・

 軽快な音楽をかけながら掃除をしていた。


 私の家は、道路に面したリビングの窓は円形になっていて、そのリビングの出窓の下が収納庫になっていた。色々な小物が入っているのだが、その一角が主人の釣り道具置き場だった。釣り針だの仕掛けだの疑似餌だの…釣り糸だの…重り等沢山あった。

 海の底で釣り上げてしまった貝殻の付いた石までも(私にはゴミにしか見えないが…)。その石に釣り針が2、3個ささっていた。


 それを手にした時・・・


 チクリッ!!


 針が右か左が忘れてしまったが、薬指に刺さった。


 痛っ!

 

 たかが・・・釣り針だから・・

 自力で抜こうとした。


 しかし、

 釣り針には、魚の口から抜けにくくする為の突起「カエシ」がついている。それが…


 引いても押しても…

 にっちもさっちもいかなくなった。


 しかも…その場から動けない!


 

 その釣り針をよく見てみると、しっかりと釣り糸に結ばれているではないか!

 その釣り糸はどこかで絡み合っていた。見えない…後ろの方のどこかにつながっている様だった。

 

 私の指は、そのままの状態で動かせない。

 

 私も、釣り糸を切りたくて、ハサミを取りたくても…


 何か切れるものをその場で探したが見当たらない。


 その場から動けない。


 どうしよう…


 どのくらいの時間闘ったのだろうか。辺りは薄暗くなっていたことに気づいた。

 18時はとっくに回っていた様に思う。

 

 主人の帰りを待とうか!


 血が流れ出ている訳でもないから。


 しかし、クリスマスだし…!

 

 ポケットを探り仕事中の主人に電話することにした。



 「私・・・


    釣られたみたい…!」


      


          つ づ く

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