上手な別れ方…
雨が…
上手に・・・私を泣かせてくれる。
歌が…
上手に・・・私を和ませてくれる。
人が…
上手に・・・私を楽しませてくれる。
主人を亡くした私は全てのものをなくしたように思った。
でも、本当は無くしたものなど…何一つなかったのかもしれない。
19歳で知り合って…
友達から始まった恋…だった。
主人は、自分が生きた人生そのものを私にくれた。
病に倒れることになるのだが、私に泣き言一つ言わず、辛い顔一つ見せず、私と娘の前では常に元気で楽しい人だった。
主人は、
上手に・・・私と生きてくれた。
繋いで歩いた温かい手が…
あの屈託の無い笑顔が…
「おい!」って声が…
全て私のもの…で…。
思い出したい時・・・
笑顔が見え、声が聞こえる。
私だけに与えられた特権だ!
ただ…
ただ…
温かさを感じることはできない。
だけど…
最後の最期まで・・・
きっと…
私を想い…
あの「黄色い涙」を流して逝ったのだと思う。
主人はきっと、
上手に・・・私とお別れしてくれたのだろう。
