太陽を追いかけてみよう。
あまりにも太陽が綺麗だったので、いつも降りる高速出口の二つ手前の出口で下りることにした。
夕陽を追いかけてみようと思った。
あっちゃんがいたら・・・・
「ナビ」は必要なかった。
何処へ行くにも、あっちゃんが、「人間ナビ」だった。
地図さえあれば、「次、あの信号右」の声で・・・・迷わず目的地に着くことができた。
2人で長年乗っていたナビのない車。
後1、2年は、乗ろうと思っていた。しかし、「相続放棄」をしたので(あっちゃん名義の車だったから)思い出がいっぱい詰まったその車は、廃車にするしかなかった。
今年5月・・・廃車にした。
あまりにも思い出が多くて、廃車にしても家の駐車場に飾っておこうかとも思ったが、現実問題・・・そうはいかなかった。
中古で白い車を買うことにした。
あっちゃんの代わりに、私を迷わず目的地に連れて行ってくれる「賢いナビ」が付いている事が必須条件だった。
本当に「ナビ」ってすごい!
だから、
あっちゃんの代わりに・・
ナビがあったから、途中でも・・・太陽の沈む場所を目指して下りてみた。
徐々に田園風景が広がった。
稲刈りが終わった後のようだ。
腰を丸めた老夫婦の姿と若夫婦の姿が夕陽に照らされていた。
互いの労をねぎらっているのだろう。
肩を並べて収獲を喜んでいるのだろう。
畑の真ん中にドーンと置かれた大きなコンバインから、大仕事を成し遂げた喜びが感じられた。
太陽が隠れかかる。
四人が思い思いの手荷物を掴み、家路を急いだ・・その頃
・・・太陽が半分姿を隠した。
綺麗に並んだ
刈り取られた
稲の跡が黄金色に輝く。
眺めていると、涙が流れた。
その稲の跡に「家族」が見えたような気がした。
共に、汗し・・辛い時を支え合い、苦労が報われたと喜び合い・・また明日への意欲を育む・・「家族」。
綺麗に並んだ稲の後は、・・
太陽からのプレゼントだろう。
太陽が完全に姿を隠した。
きっと、家に帰り着く頃、ご飯が炊けるあったかい匂いがするんだろうな。
あぁ〜ぁ。

