空の花火師さん!仕事です!!
「花火をしよう!」
忘れていた。
夏の夜の風物詩。
子ども達の夏休みの楽しみ。
家族で一つになれるBBQとそれ。
夏になると、
実家に帰ると、毎日やった。
玄関を出ると、そこは海だったし。
あっちゃんが先頭を切ってやった。
あっちゃんは花火が好きだった。
花火大会よりも、子ども達とする花火が好きだった。
子ども達の小さな手に花火を持たせ、「キャ!キャ!」「キャ!キャ!」笑うその顔を見るのが好きだったのかもしれない。
ドラゴン花火に火を付ける時には、まるで花火師にでもなったかのように…
次々に火をつけ子ども達を楽しませた。
娘が小さかった頃…
我が家でも、近所のちびっ子集めて花火大会をやったもんだ。
あっちゃんが、空の向こうに逝ってから…
多分…
花火なんて・・・忘れてた。
店頭に飾ってある値段の割にはちっとも入っていない可愛らしい花火の袋も目に入らなかった。
花火なんてする気にもならないし…
もう…用済みだと思っていた。
夜…外に出ることもなかったし…
夏の夜、昼間の暑さが和らぎ、何処からともなく人が集まり出す場所もなかったし…
そんな知り合いもここには居ないし…
夜空を仰ぎながら話をするなんて…
私にとっては「酷」以外の何ものでもないし…
でも…
今日は皆んなで花火をしに公園に行った。
今日の花火師は、私だ!
暗い空に向かって…
人目も気にせず叫んだ。
あっちゃん!!
なっちゃんと…
ゆりちゃんと花火するよー!!
はよー!
おいでぇー!

