大好きな人は、

時として…

大嫌いになることがある。

私は、

主人を嫌いになった時期があった。

理由は…

お酒をやめないからだ・・。

入退院を何度繰り返しても…

「また！入退・・・⁉︎」

「一回死なんと分からんね！！」なんて…暴言を吐くことも…。　

　

　嫌いになりかけていた…

　顔も見たくないわっ！

　いっそのこと…義父母の家で過ごしてっ！…って言ってやった！！

　それでも、退院するとすごく元気になった。やっぱり嬉しかった。

　だから…ついつい・・・

　入院することで体がリセットされるのであれば…それもいいか・・なんて…（無知にもほどがある）

　何日か後に始まる飲酒も見て見ぬふり…お気楽に考えていたんだなぁ…。

　お酒飲んでも…

　仕事は真面目に行くし、

　優しいし、

　面白いし、

　まっ！いいかぁ。・・・って。

　毎日の酒代は本人もちだし…

　嬉しそうだし…

　

　まっ！いいかぁ…って…。

　しかし、いつ頃からだろう。

　体や顔が浮腫み出した。始めは太ったのだろうと軽んじていた。そうではなかったのだ。

　分からなかった。

　肝硬変の怖さを。肝硬変の進行に伴い容姿が変わっていったのだった。

　多分その頃から…だろう。

　嫌いになっていく自分の気持ちに気づいた。

　本人こそが気付くべきだろう！

　自分の変化に！

　自己管理の欠如だろう！

　と、イライラした。

　そんな私の思いを、分かっているのかいないのか…

　行動が全く変わらない主人。

　許せなくて…

　腹が立って仕方なく…

　別れを口にした。

　自業自得だ！って思いながら…。

　嫌いになっていた…

　でも…

　でも…

　そう・・・

　主人が亡くなってからずっと・・・

　私は自分を責め続けた。

　お酒を止めさせられなかったことを…

　大きな病院へ入院させなかったことを…

　主人を見て危機感を感じながらも行動に移さなかったことを…

　苦しみ悔やみ、責めた。

　そして、分かった！！

　嫌いになったのは、「主人」ではなくて自分自身だった。

　主人の崩れていく様を見るのが辛くて嫌だったのだ。

　何か…怖かったのだ。

　

　今…

　主人を想う…。

　恋しく、愛おしく想う。

　

　主人は、本当に美味しそうに…お酒を飲んでいた。

　嬉しそうに戯けながら…冷蔵庫を開け、上機嫌でビール握っていた。

　

「お酒を飲む」ということは、主人にとって「人生を楽しむ」ことそのものだったのではないか。

　主人の笑顔の横には、いつもお酒があった。

　

　主人にも…

「逃げる」ところがあって…

　良かった！と…思うことにしよう。

　

　　　　　　　　　と…思っている。