流した涙だけ・・・
観覧車に…
海が…
橋が…
大きな空が近づいてきた。
大阪の街並みはもちろんだが…
海のずっとずっと向こうまで見える。
一番空に近いところにたどり着いた…時、
主人を思った。
ここにいてもいい人…
ここにいるべき人…
いて欲しい人・・・・
青空市場で、揚げたての海老と河豚の天ぷらを食べて…
買い物をして…
飛行機好きな私の為に関空へ…
そして観覧車乗りに…
「海」が見たいやろ〜って…娘の計らいが有難い。主人を亡くしてから毎日の様に通った「海」…。
哀しみを淋しさを深まらせながら…癒されもしたように思う。
今は海に来ても…
嗚咽が出るような叫び声を上げることはない。
辺り構わず泣くことも…もうしない。
あの時…毎日感じていた…
激しいほどの胸の痛みを…
「海」が呑み込んでくれたのだろう。
泣いて…
吐いて…吐いて…吐き出すことで…
楽になったのかもしれない。
人には見せられない狂ったかのような私を…
あの波が
引き寄せては返し…
引いたり寄せたり…を・・
永遠と繰り返すことで
少しずつ…少しずつ取り除いてくれたのだろう。
一人暮らしを始めてからは、「海」に行くことはなかった。近くに海はなかった。
そして今日…広い大きな…
海を見た。
穏やかだった。
私の心は何となく・・・
「哀しい」けれど…
しかし、
それは…
何が…
哀しいのか・・・
分からなくなっていた・・・
