親子の繋がりほど強いものはない。

　だけど…

　人を好きになって…
　愛するようになって…
　家庭を持つと…
　母や父のことより…

　愛する人のことで…
　子どものことで…
　私の世界は回っていった。

　母と私・・・　

　私と娘・・・

　母の体の事を心配しながら…も、
　目の前で咳をしている娘のことで胸が痛んだ。

　両親が歳を重ねることへの労りよりも…
　主人の仕事に対する気苦労を思い悩んだ。

　母が死んだ時…
　哀しみの本質を知った。
　心臓がちぎれそうな…
　初めて感じた痛いほどの苦しさだった。

　だけど、
　主人と娘の笑顔があったから…
　私のそばには、
　愛する二人がいたから…

　両親の死も…
　　
　いつしか…
　私の人生の一部となり…

　両親を亡くした私が、
　　ゆっくり親になって……いった。

　そして、
　愛する人のそばで…
　その死別の悲しみは少しずつ少しずつ和らいでも…いった。

　しかし、
　主人の死は・・

　心臓が完全にちぎれてしまうほどのものだった。
　いや！
　心臓を失くしてしまった。

　主人と私は、
　親子じゃないけれど…
　　　
　　　あの時の…
　　　そして今も続くこの感情は…
　　　　　　　　　　　　一体何なんだろう。

　　　なかなか晴れることのない…
　　　　　　この気持ちは…どうしてだろう。

　運命共同体…って…
　主人は言っていた。

　夫婦って…
　　親子よりも長い時間を共にするものなぁ。（普通なら…）
　　他人が…誰よりも近い存在になるんだもんなぁ。
　　目に見えない大きな力が働くのだろう。
　　　親子とは違う次元の強い力で結ばれていたのだろうか…。