あっちゃんと喪主
夢のような一年だった。
死に対する「絶望」
裏切りに対する「絶望」を感じ、
哀しい一年は、静かに流れた。
何度も行った海・・・
真っ暗になって、人の姿が見えなくなると、大声で名前を呼び・・・・叫び、大声で泣いた。
人と会いたくなかった私が行く場所は、その海と娘の住んでいる町・・知らない街・・。
一人でいることで、見えないあっちゃんと向かい合うことができた。
静かだった。
毎日が静かだった。
あっちゃんの部屋の中。あっちゃんの匂いも香水の匂いも薄れてしまった。
中途半端に残っている香水の瓶が20個近く。それを時々手に取り振りまいてやる。
そう言えば・・・
今年・・・は、
私は新年早々、
「喪主」になっていた。
マイクの前に立ち、あっちゃんの遺影を後ろに「喪主挨拶」・・・。
ずっとずっと・・・何年も前のことのように感じる。
「あっちゃんのお葬式」だなんて!
そんなことがあったなんて・・・
哀しい・・寂しい一年だった。
静かな時間が過ぎる。
私には、
「2分の1」の未来しかない。
それでいい。
それで十分。
