父と娘…
娘は沢山の人達から愛されて育った。義香家にとって「たった一人の孫娘」でもあった。
そして私は、誰もが認めるそれはそれ相当の過保護な親だった。
当然ですが、
愛おしくて、可愛くて…
大切で、大切で…
しかし、
そんな私以上に娘を愛した人がいた。
それは主人だった。
私の知らないところで、
数々の電話やメールやプレゼント。
高校の時からそうだったが、一人暮らしを始めた大学生になる頃には、私より娘の近況を知っていた。
一人娘で、
自分とよく似た顔立ち・・・。
可愛くて、愛おしくて…仕方なかったんだろう。
娘のすることはいつも賛成した。
娘の写真を常に持ち、誰かれなく自慢しては見せていた。
娘が就職してからは、職場の人達に御歳暮を送ることもあった。
結婚の話が出てももちろん!反対など絶対にしない。娘の気持ちを尊重した。
甘い!のだ。
確かにそうだ。
悲しむ顔が見たくないのだ。
笑顔で幸せでいてほしいのだ。
今、主人が生きていたら・・
どんなに孫を可愛がり、どんなに娘婿を可愛がっていただろうか。
可愛くて愛おしくて大好きな娘の大事な大事な家族だから力いっぱい可愛がっただろうと思う。
娘との時間…
27年間…
大好きな娘と一緒にいられなかったかと思うとそれが可哀想で仕方ない。
これから…
父と娘の…
大人同士の時間が始まるはずだったのに。
それを思うと、
主人が可哀想そうで…
尚一層・・・
娘が可哀想でならない。
