嘘っぱちの使命感…
「絶望」…の縁に立った…。
その直後だった。
現実か…はたまた夢なのか…その区別さえできない心境でいる中・・・
義父は、親戚と葬儀屋さんに電話しているようだった。
「息子が死んだ・・・」と。
その横で涙を拭きながら…
「えっ!誰が死んだ!?」
「本当に死んだの?」
なんて…
目の前で起きている現実を受け入れられているのか、いないのか…⁉︎
きっと…
哀しみの中…
すごくすごく『変なふうに高揚』しているようだった。
だからなのか…
一瞬であったが…
奮い立つように使命感らしきものが溢れ出した。
お義母さんとお義父さんの肩を抱いて…
「私に任せとき!」なんて言っている私がいるのだ!
だけど・・・
どうだ!!
現実は・・・
しっかり逃げてしまったではないか!
それは…
多分…
何もなかったかのように過ぎる日々な中で、
1ヵ月を過ぎ2ヶ月を過ぎ…
1年が過ぎ2年を過ぎた頃…
哀しみ…
寂しさ…
悔しさ…
苦しいほどの愛おしさが一時的ではあるが、少し和らいでいくかのような錯覚を覚える頃…
『怒り』の感情が沸々と沸いて出てくるようになったからだと思う。
それは主人と、
義父母に対しての『怒り』だった。
いつもの海で、
泣きながら叫んでいる私がいた。
「なんで強い肝臓を持った子を産んでくれんかったんやー!」
「なんで肝臓移植してくれんやったんやー!」
「ずっと家におったやろ!息子の異変に気付いたやろ!なんで病院に連れて行ってくれんやったんやー!」
「健康管理ぐらい自分でしろー」
・・・って。
あの時は…
世の中のいろんなことが…
いろんな人のことが…
何もかも憎たらしくて…
全部…全部のことに腹が立った。
あの時の『変なふうに…』湧き上がってきた…
「使命感みたいなもの…」は、
いったい何だったのだろう…。
直ぐに消えてしまったような…。
いずれにせよ、
今こうしている私がいると言うことは・・・
私には、
そこよりも違う場所に、大事なものがあった!ということになるのだろう。
