命懸けの「宝探し」
大好きなお酒持って、あっちゃんに会いに行った帰り・・ぶらっといつもの海へ立ち寄ることにした。
案の定、誰もいない。
雨は、段々と強くなってきた。
車に落ちる雨音がリズムを刻む。
「あっちゃん!
飲んでる?」叫んでみる。
お墓の前で、誕生日の歌を歌った。
お酒の蓋を開け
「誕生日おめでとう〜」と言って、
辺りにお酒をまいた。
しばらくお酒の匂いがしていた。
いい匂いだった。
あっちゃんの匂いだった。
隠れて、見つからないようにお酒を飲んで、風邪も引いていないのにマスクして・・・(すぐバレるのに・・・かわいい!)
「あっ!あーぁ!!酒!臭い!」
って大きな声で。そして、まるで犬のようにクンクンしながら、あっちゃんの口の周りを匂う。
「臭い!また飲んだなぁー。」
背中を一発・・・いや二、三発叩く。
「飲んでないぞ。」・・・と、逃げる。
その繰り返し・・・
でも、こんなに早く、突然死んでしまうなら、酒の肴でも沢山作って美味しい酒をゆっくり飲ませてあげればよかった。たらふく飲ませてあげればよかった。
こそこそ・・・じゃなくて、
ゆっくりとね。
こんな笑い話もあった。
飲み終えたお酒の空カップをいたるところに隠すあっちゃん。
(まるで、犬が大事なものを土の中に隠すように)
押入れ、棚の隅・・靴箱・・etc
(コンビニのゴミ箱にでも捨てればいいのに・・なんて思ってしまう。)
ある日靴箱でワンカップを見つけた。何故か半分残っている。しかも、まだ、酒の匂いがプンプンしている。新鮮な匂い。
新しい!
これは、昨日の物に間違いないだろう。
『まさか・・また、飲むつもり?』
そうはさせられないと、その半分残っていたお酒を捨てた。
そして、
『残念でした!』と、大きく紙に書いて貼っておいた。
次の日靴箱を見てみた。
空カップは無くなっていた。
きっと、こっそり飲もうとしたはず。空カップを見て「あちゃー!」って、頭を叩いたに違いない。
面白かったなあー。
腹が立ったけれど・・・
宝探しごっこ!
