遺訓
「絶望」と言う底から、青空を見上げた。
雨は上がり、今日は例年より8日早い「春一番」が吹き抜けた。
春が…やって来る。
明日と言う日に期待なんかしていない。
明日と言う日は、私にとって、希望も夢もない未来だ。
だけど、
私が居るこの場所にも…
こんなに青空が遠い底にも…
眩しい光が差し込んでくる。
その光のある方を向いた時思った。
自分の人生の終わりを…
私が、今…こうして見えない、とてつもない大きな、息苦しくもある力に押し潰されそうな毎日を送っているのは、
あっちゃんが、何も言わずに…全てを隠し…
自分の胸にだけしまって…
最期まで…黙ったまま…
逝ってしまったからだ。
それは、
「共に生きた」という、私たち二人の人生全てを… 否定しているかのように思えた。
あっちゃんの死後、手紙の様な物、メモ帳、ノート、携帯・・・
探した。あっちゃんの思いが、メッセージが…出来れば、ラブレターのようなものがないだろうかと期待して…探した。
だけど…何一つなかった。
「何も言わない裏切り」を感じた。
一緒に居たのに…
後悔・・・
人生…大失敗!
終活を始めよう。
大切な人に伝えるべき「遺訓」を書こうと決めた。
大切な人の「哀しみ」が少しでも和らぐように…
生きているうちに…
