崩れゆく…家。
少し見ないうちに…娘は母になっていた。
なっちゃんが眠るタイミングも心地よく過ごせるための術も…笑いのツボも・・・みんな把握していた。
「もう大丈夫だろう。」と…思った。
私がいなくても…。
義父母は、とても元気。
二人で仲良く暮らしている。義父は、近くの小学校の子ども安全パトロール隊の隊長として、地域に貢献しながら…同世代の仲間達と活動している。
家の後ろには、自分で作った畑がある。沢山の野菜を義母と一緒に育て、収穫を喜び合っている。
義母は、五人兄弟の長女。みんな近くに住んでいる。そして、毎日の様に姉妹の誰かが家に来ては、お茶を楽しみ、料理を作り、「寂しくない時間」を過ごしている。
「寂しいのは…私だけかもしれない」なんて・・・思えてしまう。いずれにせよ、「姉妹…仲良くて、いつでも会えて…。」羨ましいなぁ…と、いつも思う。
だから、私がいなくても
大丈夫…。
義弟は、施設にいる。盆、正月、ゴールデンウィークぐらいしか会うことはない。
私の力は必要ない…。
だから、きっと私がいなくても…大丈夫…。
つまり私が…
ここに居なくても、誰も困ることはない。
築き上げて来たつもりでいた家族の「絆」も、思っていたより細くて脆いものだった。
あっちゃんがいたから、娘がいたから…結ばれていたのかもしれない。
あっちゃんが居たから、私は「ここにいた」…ただそれだけだった。
それなら…
いつ出て行っても大丈夫…。
私がいなくても、困る人がいない。
静かに…ことを進めていこう。
