きっと…アルコール依存症
職場を出たのは、もうすぐ時計が 8時になる頃だった。
夕方賑わったであろうスーパーへ買い出しに行った。そこには、思いも寄らぬ光景があった。
それは、買い物客のほとんどが、男性なのだ。それも…一人で籠を持ち買い物をしている。
時間帯によるものなのか・・
魚・野菜などは産地直送…新鮮にして価格が安いことを売りにしているスーパーだからなのか…。
沢山の男性が仕事帰りに一人で来ている感じなのだ。
その姿があっちゃんと重なった。私が先に死んでいたら…あっちゃんも大好きな刺身を買いに、ここに来たのだろうか。買い物籠を持ち、並べられた刺身を手に取り選ぶ姿を想像すると…
少し・・・哀しくなった。
その買い物客達も、「独り暮らし」の人ばかりではないだろう。晩酌のおつまみにでも…と、買いに来ている人も少なくないだろう。
しかし…その姿は、やっばり寂しげであった。
私も…こんな時間に…
しかも…・・・
籠の中味を見ると、その人の生活の少しを垣間見ることができよう。
一人で買い物なんて…させられない・・・と、思いながら、籠の中に食パン、出来合いの海苔巻き、キムチにほうれん草を入れた。
こんな時…私が「後」で、よかった…と思う。
私が死んだら…毎日毎日朝から、お酒を飲んでいるかもしれない。(アルコール依存症だ)ご飯は作らないから…コンビニの物ばかり…
でも、あっちゃんには、両親がいる。しかも直ぐ近くに…そして、元気に暮らしている。だから…二人が健康なうちは、なんとかなるだろう…なんて考えていた。
それにしても…こうして一人分の食材を買うことも…暗い…真っ暗な家に帰ることも…ない・・
あっちゃんが憎らしく感じた。
彼は…「哀しい」思いを知らずに逝った。愛すべき人は、みんな元気に生きている。
彼の両親に弟…私に娘・・・
それだけでも幸せだろう。
あの「苦しい哀しみ」を知らないだけでも・・・。
後に遺された者は・・・
たまったもんじゃないが…
