いつでも…迎えに来て
寝室の電気を消したら…我が家は真っ暗になる。
他に人がいないから。
あっちゃんが死んでしまった時、義母に言った。
「家で1人で寝るのは怖いから、こっちの家で寝ていいですか?」と。
2度倒れ、意識を無くし小さな声で助けを呼んでいたであろう風呂場に…1人で行くのが怖かった。
黄疸の症状が出た「黄色い目」のあっちゃんが、
寝室を開けると…
「なんで…仕事を手伝ってくれんやったんかー」
「なんで…ご飯作ってくれんやったんかー」
「なんで…病院へ連れて行ってくれんやったんかー」
「なんで…」
「なんで…・・・」って、責められそうで…
あっちゃんが大きな目で睨んできそうで…
なんか…怖かった。
あっちゃんの死は私に大きな責任があると思っているから。
だから…この家では1人では眠れないと思った。
あっちゃんが死んでしまったのは…わたしのせいだから・・・
しかし…どうだろう。
今はこの真っ暗が好きだ。
2年経って、あっちゃんの寝室からは、もう香水の匂いはしなくなった。でも…クローゼットを開けると、まだ…あっちゃんの匂いがする。
そんな家で1人で生活することが、今では嫌いじゃない。
いつでも…
何処でも…
出ておいで…。
