分かっている答え
お盆が終わった。9月になったら仕事も始まる。
自分の生活の拠点をそろそろ決めなくてはならない・・・って、い・つ・も思っている。
思っているけれど・・・・
「答え」は、
随分前から・・・私の中で出ていた。
人は、大きな一歩を踏み出そうとする時、悩み・迷い、必死に考えるだろう。
しかし、心の中では、誰がなんと言おうが揺るがない「自分の答え」を持っているものだ。(人は、自分の答えを自分がよく分かっているにも関わらず、人に相談したがりもする。)
いずれにせよ、「ここでは暮らせない。」と始めから思っていた。
そんな事を考えていたら、途中で止まったいた本棚の片付けを思い出した。やる気の出ない気持ちを奮い立たせようと、両手で力強く扉を開け始めることにした。
一番下の棚の隅に、無動作に置かれた写真の束があった。年代もバラバラで、アルバムに貼りきれなかったのだろうか・・・・かなりの枚数だった。
一枚ずつ一枚ずつめくってみる。
その中の一枚に手が止まる・・・
大粒の涙がこぼれ落ちた。
はしゃいでいる私がいた。
これ以上ない笑顔で・・・・おどけている私がいた。
そして、私の前には、煙草をくわえ、照れ笑いをしているあっちゃんがいた。
私の手は、あっちゃんの背中(革ジャン)をぎゅっと握りしめている。
幸せそうな「私」がそこにいた。
こんなに笑えていたんだ・・・
こんな表情がつくれたんだ・・・
忘れてしまっていた。
温かいあの感情を・・・。
大切な人が傍にいるだけで、「安心」からくる最高の喜びがあったことを。
二度と私は、こんなにも幸せに満ちた顔をすることはないだろう。
あまりにも悲しすぎて・・・
いつからか周りとは違う疎外感を感じ、自分の心を硬く包みこんでしまうようになっていたのだろう。
私の心に響くものは、だんだんなくなっていった。
私の心から少しずつ大切なものが失われていった。
微笑み
優しさ
人を愛しむ思い
気力
やる気
会話 が・・・・・・・・減った。
楽しみ
喜び
夢は、考えられなくなった。
未来が
消えてしまったから・・・・
「自分が出した答え」を口にする時、新たな人生のスタートラインに立つことになるのだろう。

