死の前兆・・
ヒトの赤血球は、約120日の寿命がある。この寿命が異常に短い状態を溶血と言うそうだ。
健康管理は、やっぱり妻がするものなのでしょうね。
緊急入院して、初めて知った。
ボロボロになっていたあっちゃんの体のこと。
緊急入院(昨年12月29日)の約2週間前の12月13日、夜中1時頃、あっちゃんはコンビニから帰ってきた。そのままお風呂に直行。それから数分経った時・・・!
ドスン!
何か大きな物が落ちたような音!
でも、すぐ分かった。
「あっちゃんだ。」
やっぱりそうだった。あっちゃんが倒れている。
意識がない。
「あっちゃーん!」
「あっちゃーん!」
何度呼んだだろう。
救急隊員が着く頃意識が戻った。
血圧が異常に低かったので、そのまま救急病院へ行くことになったが、休日で深夜。応急措置をして、その日は、病院へあっちゃんは泊まった。平日通院することを約束して帰って来た。
今思えば「倒れる」って分かっていたような・・そんな気がする。
そう思ったのには、訳があった。それは、その日からさらに約二週間前の12月の初めのことだった。
戻れることなら、
あの日に戻りたい。
私は、この日、あっちゃんを裏切った。罪を犯してしまった。
取り返しのつかない重い重い罪を。泣いても叫んでも・・・もう、どうにもならない。
仕事から帰宅したのは、夜7時ごろだった。
すると、かすかに・・
聞こえて来た!
それは、本当に蚊の鳴くような
小さくて頼りない声・・・
立ち止まって、耳を澄ました。
今にも消え入りそうな・・・声??
「ごーん・・・」
「ごーん・・・」
私を呼ぶあっちゃんの声。
急いで家の中へ、
「あっちゃん?」
「あっちゃん?どこ・・・?」
「ごーん・・」
あっちゃんは風呂場で倒れていた。体を動かすことができなかったようだ。
きっと、意識がなくなったんだろう。そして、意識が戻って、起き上がろうとしたんだろう。
でも、体が動かない。
誰もいない。
寒いのにお風呂場で倒れた時の格好のまま・・・
私が帰るのを待つしかなかっ時のあっちゃんの心を思うと・・・
私の車の音を聴いて、必死に叫んだに違いない。
「ごーん」・・・・って!
私は、この出来事を重要視しなかった。あっちゃんは、そのまま服を着替えてコンビニへ行った。
緊急入院をして、「溶血性貧血」の持病があると、聞かされた。
溶血性貧血は、赤血球の破壊が軽度でゆるやかな場合は、症状がみられないことがあると言う。だけど赤血球の破壊が重度な場合や急速な場合は、貧血と似た症状が現れる。また、軽い黄疸症状が現れ、赤血球の破壊が数カ月以上続くと、脾臓が腫れて、腹部の膨満感や不快感、 リンパ節の腫れや圧痛、発熱などもあるそうだ。
あっちゃんの体の中で、赤血球がどんどん壊されていた。
人よりも速いスピードで・・
だから、青あざがいっぱいあったんだ。
だから、黄疸の症状が出ていたんだ。
だから、倒れたんだ。
私は取り返しのつかない罪を犯してしまった。
知識がなくても、なぜ疑問に思ったことを調べようとしなかったのだろうか。パソコンも、インターネットもあったのに・・・
病院へ引っ張って連れて行けばよかった。
それより何より、もっとあっちゃんを見ればよかった。話せばよかった。聞けばよかった。
何故そうしなかったのだろう。
これは裏切り・・・行為!?
そんなに緊急を要するなんて思わなかった。
まさか、死んでしまうなんて・・
自分自身の健康管理が悪いから。
お酒を止めないからって・・・。
あっちゃんを責めていた。
私が出来ること沢山あったのに・・
倒れた時、一人で、不安で・・
心細かっただろう。
だから、今
私が・・毎日・・・
一人を感じ・・・
今日もやっぱり泣いている。

