記憶喪失
日も昇らないうちに出発した。
眠たい目を擦り、コーヒーだけを口にして家を出た私は、ふと…「これは現実なのか」と自問自答する。
最近よくある事だった。
何かにつけ…
「これは…やっぱり現実なのか⁈」と確認する。
今日もまた、
夜とも知れず…
朝とも…見分けがつかない中を・・車を走らせる。
これは…現実なのだ。
間違いなく現実。
しかも私が選んだ現実だ。
嫌な現実…⁉︎
信号待ちで車を止めた時…
対向車線を走る黒っぽい大きな車に目をやった。
その瞬間…
正面衝突!
私は救急車で病院へ運ばれ・・る。
病院へ運ばれたものの・・
一週間眠り続けていたらしい。
この土地に身寄りのない私は、ただ一人…ベットの上で眠っていた。
後から分かる事だが、その車を運転していたのはある財閥の秘書であった。後部座席には会長が座っていた。私は用意された特別室で眠っていた。
そして、
目覚めた時には・・・お決まりの記憶喪失になっていた。
全てを忘れてしまっていた。(嬉しいことに)
全てを忘れて記憶喪失に…。
本当に…
そうなったらいいと考えていると…
職場が見えてきた。
周りは現実を徐々に明るく照らし始めていた。
(なかなか韓ドラのようにはいかないものだ!)
今日もしっかり記憶のある中で、なんとか生きている。
