いつでも死ねる…
彼は自分の病気を知っていたはず・・・
そして恐ろしいことに、その「死」を受け入れていた。
彼は「死」を覚悟していた…。
いやいや!
酒ごときで死ぬわけがない!と、たかをくくっていたのだ。入退院を繰り返し、いつも…いつも「喉元過ぎれば・・・」だった。
挙式が決まってから、
いや、挙式後・・・からか…⁉︎
彼の「生」に対する価値感が変わったような気がする。
「いつ死んでもいい!」
そう…思っていたに違いないのだ。
「もう…いつでも死ねる!」
それが、彼の一番の強みにもなっていた。
「いつ死んでもいい…」
誰もがそんな思いで死にたい。
自分が思うほとんどのことをやり遂げ、思い残すことがないほど愛する人達と過ごし、「丁度いい時に」…
誰の世話にもならずに・・・。
しかし、なかなかそうはいくまい。
主人はどうだったのだろう…⁈
まず、自分の完治することがない病気に悩んだだろう。
次に,体が徐々に辛くなる中での仕事にも苦戦しただろう。
そして、大好きなお酒にも制限がかかり、一番の楽しみを味わえなくなってしまったのだから…夢や希望も薄れていっただろう。
きっと…
一人で泣いていたのではないか!
私に気づかれないように泣いていたに違いない…。
ごめんね…
