幸せの自信
白い木蓮の花が満開だった・・・のも…つかの間・・・
ひとひら…ひとひら…散ってゆき・・
残り少なくなった…ユニット前にある大きな木蓮の木。
今年は暖かくなるのが早かったからだろうか。見て楽しむ時間が短かったような気がする。
結婚当時…
私は主人が高3の時に義父母が建てた家(築7,8年の家)で暮らした。二人で…。他の家族は車で五分ほど離れた家に住んでいた。
今思えば…
幸せ「満開」だった。
家賃はタダ!
光熱費も…
電話代も新聞代も…
NHKの受信料も…
区費も…
固定資産税も…
まだまだ⁉︎
二人が家を建てるまでの4年間はタダで生活できた。
二人には広すぎる家で…
のびのび暮らした。
庭も広い。
夏には大きなビニールのプールを水いっぱいにして遊んだ。(水道代もタダだし!)
義父が定年を迎え、その家で暮らすことになり私達三人は、庭の一角に家を建て暮らすことにした。
その時も・・・土地代はタダ!
私は新婚当初から恵まれていた。
娘が成長し大学入学と共に、また二人だけの生活が始まった。生活時間のすれ違いはあったもののそれなりに幸せだった。
しかしそのうち、
ひとひら、ひとひら花びらが落ちるように…何かが少しずつ少しずつ変わり始めた。
いつの頃からだろう。
主人の容姿が変わっていくのが分かるようになった。
私は見て見ぬふりをした。
落ちてゆく花びらをただ…見ているだけだった訳だ。
そうすると…
幸せ満開の心に影が差し始めるようになってくる。
何かが崩れだすと早いもので、風が吹くたびに花びらが落ちるように…
私の「幸せの自信」が揺らぎ始めた。
白い大きな花びらは地面に落ちたが最後…茶色く様変わりし、咲き誇っていた姿は見る影もない。
主人は、入退院を何度か繰り返した。そして…6年前の年末吐血をし緊急入院することになる。
かろうじて踏ん張り続け咲いていた花も力を失う時が来た訳だ。
今年は、早くに散ってしまった木蓮…
見て楽しむ時が短かった。
それが、主人の生き様と共に、そばで過ごした私の心と重なって…もの悲しく思える。
