優柔不断…別れの決断
すごい雨の後の冷んやりした空気が好き。
綺麗に洗われて消毒された様な…
この土地を離れると…気持ちの整理はついたものの…、親しくさせてもらった職員さんには言えないでいる。
「義香さんが辞めるって言わないように…、◯◯さんの状態報告は、私が書いといたからね!」
「義香さんが辞めない様に…、手の荒れによく効くハンドクリーム。病院に予備に下さいって言ってもらって来たよ!」
「義香さんが辞めるって言わないように…、ピクニックセット用意して行くから夕食一緒に食べよう!」
「義香さんが辞めるって言わないように・・・」
毎日…こう言われては、
「辞める」って言えやしない…。
この仕事が好きな訳じゃない!
仲間が好きなんだ!
一人になって…
出会った人達・・・
私の事…
家の事情…
家族の事…
私のここへ来る前の暮らし…
主人が死んだこと…
知らない人達ばかり。
(一番親しくしている一人の職員さんには主人が他界していることを話している。)
そこは…
消毒された…新鮮な場所だった。
先入観のない場所…
居心地がいい。
梅雨が明ける頃には、この街を離れるつもり…
