想い出さずにはいられない・・そんな人
私は本当にできの悪い妻だった。
あっちゃんは、親戚に、娘の職場の人達に、嫁ぎ先に、私には何も言わず、お歳暮を一人で選んで、一人で送り出す・・そんな人。
私のいとこの奥さんが、入院していると、私より先に情報をキャッチして、黙って、お見舞いを送る・・・そんな人。
私が「足が太いから、ブーツなんか履いたことがない。」と言えば、いつの間にか、ネットで探して予約して、お店に連れて行ってくれて、私がブーツを履いて喜んでいる姿を見て、嬉しそうに笑っている・・・そんな人。
自分は、毎日365日休まず働いているのに・・・私が、海外でもどこでも、「◯◯に行ってくる。」と、言えば「おぅ!行って来い。」って送り出してくれる・・・そんな人。
友達が困っていると聞けば、お店にある売り物のおにぎりを全部持って駆けつける・・・そんな人。
私が笑っている顔を見るのが好きで、私が「お腹いっぱい・・」って、お腹を叩く仕草を見るのが大好きで、 たまに、私がお酒を飲んで、酔っぱらった姿を、嬉しそうに見てて・・。
そんな私の「幸せな顔」を見て喜んでいる・・・そんな人。
料理を作らなくても
掃除をしなくても
彼の仕事を
手伝わなくても・・・
ぐうたら寝ていても
何も言わない・・そんな人。
私は、あっちゃんがいたから、毎日自分の仕事だけに集中できた。
私は、あっちゃんがいたから、いつでも自由にできた。
私は、あっちゃんがいたから、この場所が居心地良かった。
あっちゃんがいたから、
何でもできた。
あっちゃんがいたから、
笑えた。
あっちゃんがいたから、
元気だった。
でも、
私は、あっちゃんのために何もしてあげてない。
去年の12月の初め頃、あんなに「すき焼き・・すき焼き!」って言っていたのに、それさえ、食べさせてあげられずに・・・
私は、何をしていたんだろう。
本当に・・・
どうしようもない妻だった。

