哀しい花嫁の父
駅に隣接したホテルを予約していた。
その日は…
私達夫婦にとっても、これからまた二人の生活が始まる…記念の日でもあった。
その夜は、挙式,披露宴の事の自我自賛をして、嫁がせた娘との思い出話をしようと…二人で遊びに来てはよく泊まるホテルの少し豪華な部屋を予約していた。
挙式後…
皆んなで二次会に行って食事をした。
皆んなと言っても、新郎新婦は別のホテルで友達と二次会を開いている為、私側の姉妹、親戚で二次会と言う夕食会をした。
しかし…
店を決めるまでは元気に話していた主人が…
店に入って生ビールを注文したものの・・・
一杯目を空かすこともなく…
お喋り好きな人が…
あまり喋る事なく…
眠たそうに、だるそうにしていた。
気にはなっていたが…
私はホスト側なので・・
皆んなと話し騒いだ。
主人は…
うつむいていたように…
そんな姿が浮かぶ・・・。
ホテルへ帰ってからも…
主人は一言二言…話しただけで、今にも寝入りそうにベットに入ったと記憶している。
私はのんびりお風呂に入り、部屋に付いているマッサージ機に座り、大きな窓から綺麗な夜景を見ながら、親としての最大のイベントが終わったことに深く安堵した。
それでもやっぱり…淋しさは拭えなかった。
主人は寝ていた。
自分の仕事が全て終わったかのようにぐっすり寝ていた。
明日!から…
目を覚ましたら・・・
家に帰って「二人の新しい生活」が始まるのに…。
今思えば…主人も私も・・・
この先…への喜びを・・・一切感じてなかったように思う。
この時から始まったんだ!
主人の自分の中でのお酒の解禁!
それは、人生を…
これから…
私と二人で歩くことを諦めたことを意味するってことに・・・
気づかなかったのかなぁ…
それとも…気づいていて・・
そうしたのかも…
