絶望の底から青い空を見て・・・

2014年12月31日
私の目を見て医師は、言った。
「24時間の命です。」
2015年1月20日最愛の夫は、死んでしまった。
死・借金・裏切り・崩壊・人間不信…
今、独り…目に見えない何かと闘いながら生きていく…。
逢いに逝けるその日まで…。

空からのプレゼント

施設の夏祭りがあった。


真っ暗な空に…綺麗な大輪の花火が上がり・・散った。


花火…

空に打ち上がる花火…


あっちゃんが死んだ年の夏…


花火が格別好きな訳ではないが、近辺で開催される花火大会を探して娘と二人で見に行った。


花火が打ち上がる毎に…

あっちゃんに届け!!っとばかりに見上げた。

空いっぱいが、あっちゃんの顔のように見えたから。

そして、感じた…。


大輪が開く前の…

真っ暗な空が彩られる前の…

「ドン!」と鳴り響くその音が・・

空から送られてくる…その振動が…私の心臓に響き、見えない空との「繋がり」のように…

感じた…。

花火を見ながら自然に涙がこぼれた。

あっちゃんがいない初めての夏だった。

しかし…

夏が過ぎ、冬が来て…

そしてまた花火の季節になる頃には…

1年の間に・・・

私の心の中から、いろいろなものが一つずつ消えて失くなっていた。花火のように…。

私の心には花火は、似合わなくなっていた。


祭りには行かない。

花火も見ない。


次の年も…

その次の年も…そうした。


今年…間近で花火を見た。


皆んな…見上げていた。


皆んな…微笑んでいた。


私も利用者の肩に手をやり、「綺麗ね!」と…見ていた。


あっちゃんに届け!ではなく…


私への贈り物のように感じた。

成績表

職員には、事務所に一人ひとりのレターボックスが用意されている。

そこには、学園の毎月出される広報誌や給料明細書など、個別に渡される書類が入っている。

毎日出勤時に、出勤簿に押印後そのレターボックスを引いて中身を確認するのが日課だ。


先日、主任よりメールが届いた。

「6月に健康診断の日程をお知らせしたと思いますが、6月中はお休みしていたので、実費で、7月中に健康診断を受けて下さい」とあった。


無視していた。


すると、いつ頃健康診断に行けるのかと言う催促の電話がきた。


適当に答えた。


そして、今日レターボックスを開けた。


そこにメッセージカードがあった。

診断内容とともに…



その健康診断の結果を誰が見るわけでも…批評されるわけでもない事はよく分かっている。

労働安全衛生法で義務づけられているのも知っている。

でも…

私は、健康診断が嫌いなんだ!

死ぬことよりも…嫌いなんだ!


体重計に上がることが、

メジャーで測られることが嫌なんだ。


自分の成績表を見るようで…嫌いなんだ!

身も心も…たるんでいる現実を数字にして突き付けられるのが…なんとも・・


とにかく健康診断が、


自分の「意識の…自己管理力」の成績表を見るようで…


嫌いなんだなぁ〜。

あっちゃんが生きていたら…

欲張りな私は…


仕事もしたい!

孫とも一緒にいたい!

広い家に住みたい!


余裕がある生活をしたい…と思う。


彼が生きていたなら…


あっちゃは…、

きっと治療を受けながら、今もなお入退院の繰り返しであっただろう。だとすると、彼もだが、私も…気が休まる時がない生活を送っているだろう…と思う。


自由が利かない体をかかえて、仕事に急き立てられているそんな彼を見ていたら、私はきっと彼に、仕事を辞めるように提案するだろうし…彼だって辞めざるおえないだろう。


そして、私は…

自分から仕事を辞める様に言ったにもかかわらず…

心の底にある妬みが・・・


そして、


働き盛りの年齢でもある彼に、

愚痴をこぼし、冷たい言葉を浴びせかけていると思う。


大好きな彼のことを哀れに思いながらも・・・


大好きだからこそ・・許せなくて…


可哀想だから・・悔しくて…


欲張りな私が想像していた…

光の当たったキラキラした健康的な夫婦像が、彼の病気のせいで、徐々に崩れてゆくことに、いつのまにか、怒りにも似た哀しみを感じるに違いない。


私は欲ばかりだから…

思い通りにならないことに腹を立て、哀しんでいたに違いないんだ!