特別で異常な「普通」
どうのこうの言ったって…生きているんだ。
毎日食べて…寝て…
笑って…泣いて…
あっちゃんが、緊急入院してから、心痛の為だろうか10キロ落ちた体重も、今では、加速度的に元に戻りつつある。
こんなにも毎日が「哀しい」だの…「苦しい」だの…言っているのに…。
その現実一つ取ってみても…
私は、「普通」に日常生活を営んでいる。
「普通」に…。
週明けの月曜日は、いつも朝から気分はどんよりしていた。それでも、「休日」目指して仕事をした。日を追うごとに身体は本調子になり、日々…自分の仕事に課題を与えながら私なりに一生懸命勤めた。
コンビニを経営するあっちゃんとは、すれ違いの生活だった。帰宅時刻は、ほとんど日付けが変わってからだ。私と言えば・・・帰宅するあっちゃんを待とうともせず…布団に潜り込んでいた。ふと、夜中に目を覚ました時、リビングの灯りと漏れ聞こえてくるテレビの音に…あっちゃんの帰宅を知る始末だ。
そっとドアを開け、
「早く寝りよ」と、声を掛けた。
それが、「おかえりぃ」の挨拶になっていた。
あっちゃんは、
「おうっ」と、答えるとまた、テレビの方へ目をやった。
ただそれだけのこと…
そんな毎日の繰り返し。
たったそれだけで…よかった。
そして週末。いつものように二人でデートを楽しんだ。
極…極普通の事…。
だけど、たったそれだけで頑張れた。
ずっと続くだろうと信じていた「普通の生活」…。
その「普通」の生活が、私の「生きるための源」であり、私の「生きる形」だった。
「共に生きるべき人」を亡くした私は…「生きるための源」・「生きていく形」を失なった。
人が皆…感じている「普通の平凡」な生活が、「特別な異常」な生活に変わったことを…誰が理解してくれようか・・・。
そして、その「特別な異常」な生活が・・・私の「普通」の生活になろうとしているのが恐ろしい。
