アルコール
お酒が飲みたくなった。
あっちゃんはアルコール性肝硬変だった…。
知り会った時(大学生)から、毎日毎日「休肝日」なんてものは無く、飲み続けていた。酒は「百薬の長」という。適量の酒はどんな良薬よりも効果があると酒を賛美した言葉だが、「過ぎたるは及ばざるが如し」である。
何故そんなにも好きになったのかは定かではないが…。ほろ酔い気分が気持ち良かったのだろうか。日本酒でもビールでも焼酎でもウィスキーでも何でも飲める人だった。
お酒と言えば・・「人」
人が集まる。
飲めば・・爽快になる。にこやかになる。話が弾み…笑いを伴う。
それが・・・良かったのだろう。
楽しかったのだろう。
あっちゃんは、コンビニを始めるまでは、そんな美味しい楽しいお酒を毎日飲んでいた。
しかし、コンビニを始めてからは、不安や辛さを忘れるための…疲れを無くすための…眠るためのお酒になっていた。しかも、隠れて…こっそり…
決して美味しいお酒ではなかったはずだ。それでも…飲まずにはいられなかった…。
そんなあっちゃんが好きだったお酒を私も飲みたくなった。
起きていれば考えることの殆どが、あっちゃんのこと…。あっちゃんと共に「消えた未来」をどう生きるか…永遠に答えが出そうにない私に与えられた課題。それを生きている限りずっと…考え続けなければならないから・・。
スッと…眠りに就くために。
美味しいお酒を飲んでいる頃…あっちゃんはいつも楽しそうだった「酔い」の世界は、フワフワした心地良さの中で、少しだけ現実逃避できる。
あっちゃんが居ないことを忘れるために。
だけど…その反面、素直に「哀しみ」に浸るために…。どっぷり全部「哀しみ」に浸りたいから…
自分の心に素直に寄り添うために。
今日から…飲む…。
