裏切り者
23日間の闘病生活の末、昨年の 1月20日 …あっちゃんは逝った。
主治医が・・・言った。
「午後4時11分…御臨終です。」
その後、体に付けられていた5,6本もの点滴が外され、あっちゃんの身体の死後処置が行われた。
私と娘、そして義父母の四人は、待合室のような別の部屋で待つことになった。
時間にすれば、2時間ぐらいだろうか。「あっちゃんが死んだ」という受け入れ難い事実と直面しているにも関わらす、何処と無く第三者的な視点で事の成り行きを伺っている自分がいた。
「哀しい」はずなのに…心がそこにないと言うか…
「死」がもたらす深い深い「哀しみ」を、その時はまだ理解できなかったのだろうか。
そんな私が、義母の肩を抱き、娘の肩を抱き、
「私に任せて…。」と、あっちゃんの妻として、長男の嫁としての使命感のようなものを感じ・・そう言って泣いた。
あっちゃんの代わりに「この家は私が守る。」なんてことを言って…泣いていた。
あの時は本当に、
義父母も義弟も…全て・・・
永遠に私が責任を持ってお世話しようと思った。
あの時は…
臨終を告げられたあの時は…
そう…思った…
しかし、
私は薄情者だ。
裏切り者だ。
私は…今・・
逃げようとしている。
