お母さん…
母が生きていてくれたら、私は今…迷うことなく・・・母のそばで暮らしていただろう。
美しい海のある実家は、私に安らぎを与えてくれるだけでなく、今こうして悩んでいること…苦しみ考えていることに寄り添い…「次への一歩を歩み出せ!」と、背中を押してくれそうな気がする。
そして、私のそばに何も言わず…ただ私の横顔を優しく見つめてくれる母がいたら…
私は、思い切り泣けそうな気もする。
温かいご飯を母と一緒に作って、夜は、隣で寝ようかな。
私は、そのうち、小さな町で、仕事を見つけ・・年老いてゆく母に寄り添い生きていく。
たまには、遠出して…姉や妹の家に遊びに行って…
母がいてくれたら・・
焦ることなく…穏やかに…ゆっくりとした時間の中で生きてゆけそうな気がする。
もしかしたら、
「貴方は自分が嫁いだ家をしっかり守りなさい。」と、叱られるかもしれない。
「ここは、貴方の居場所じゃない。」と諭されるかもしれない。
「決して子ども達の世話にはならない」と豪語して、その言葉通り…私達三姉妹には「何もさせず」に・・ 食事介助の一つも…
何一つさせずに旅立ってしまった人だから…。
でも…ほんの少しの間、母のそばで暮らしたい。
「独り」に自信がつくまで。
母が生きていたら79歳。
夕方には2人で…近くのおばちゃん達を誘って…皆んなであの橋の上まで散歩して…
母やおばちゃん達にあっちゃんのこと、家のこと、借金のこと、コンビニのこと・・・・沢山…沢山話をして…
あの橋の上で大きな声で笑ってみたい。
よく笑う人だったから…
お母さんは…。
お母さん!
あっちゃん!
ここには話せる人がいません。
聞いてくれる人がいません。
