空っぽの冷蔵庫
娘が、帰った後の冷蔵庫の中は、ほぼ空っぽ・・・状態。
一人で生活する様になって、買い置きを殆どしなくなっていた。
だから、娘が帰って来る時は、冷蔵庫は食材でいっぱいになった。
食材がいっぱいの冷蔵庫を見るとこんなに幸せを感じるなんて…。(そんなこと…あっちゃんが生きていた頃は、感じる事もなかった。)
冷蔵庫を開けて・・・
「幸せ!充実感100%」と、叫ぶのは、私ぐらいだろう。
しかし…娘が帰ってしまうと・・・
2,3個転がっているトマトと使い掛けの竹輪とお味噌汁に使ったお豆腐が二丁。
野菜室には、キャベツとレタスの残骸・・・
あんなに沢山あった冷凍庫のアイスは、全てなくなっていた。
ただ…冷凍庫の奥に2つ「南国白くま」(カキ氷のアイス)があった。生前あっちゃんが買って来た物だ。
今までなかなか手をつけられなかったけれど、お腹も空いたし、暑いし…
食べることにした。
ゆっくり蓋を取った。
約2年間そのまま放置していた。すっかり氷はカチカチになり、スプーンを刺すことがなかなかできなかったのが、長い年月を物語っていた。
練乳のかかった甘い氷を、一口…二口進めていくうちに…しょっぱくなってきた。
2つあった。
2人で食べようとしたのだろうか。
「死ぬ」ということは、
大好きな物が食べられなくなるということ。
「死ぬ」ということは、
大好きな人と一緒に食べることができなくなるということ。
あっちゃんが生きていた時に買って冷凍庫に入れたアイス…。おちょぼ口で美味しそうに食べているあっちゃんが…ここにいるようだった。
もう一つは・・「今度」食べよう!
