涙・秋・心
窓を開けると、冷たい風が気持ちいい。
今年は随分早く秋が来たようだ。暑い夏は苦手で、どちらかと言えば「夏が嫌い」な私にとって、こんなに速い秋の到来は喜ばしい。
・・・と、あっちゃんが生きてさえいれば、そう感じていただろう。
虫の鳴き声に耳を傾け、秋の夜長に思いを巡らし、秋が来たことを誰よりも喜んでいただろう。
そして、「今日は何の鍋にしようか?」なんて、夕食のメニュー作りも楽しんで・・・鍋料理は、簡単で、食材によっては、とてもヘルシーだから「メタボ」の2人には丁度いいもの。
それに、こんな気持ちの良い夜は、嫁いだ娘のことを思い出し・・・・「こんなことあったね!」「あんなことしたね!」思い出話に花がさく。
後2ヶ月で、1年を迎えることを、DVDでも見ながら、2人で喜び、笑っていただろう。
そんな「秋」を迎えるはずだった。
挙式後、2ヶ月で逝ってしまったあっちゃんのことを、
「花嫁姿が見られて良かっね。」と、散々言われてきた。
確かにそうかもしれない。
もっともっと若くして亡くなった人・・・・
大事な子どもの結婚式を見れずに亡くなってしまう人・・・・
結婚式どころか、我が子を胸に抱き、小さな手を握ることさえ出来ずに亡くなってしまった人もいるだろう。
でも・・・
悲しさ比べはできません。
私にとっては、あっちゃんが誰よりも一番可哀想なだけ・・・
「花嫁姿を見ることができたから・・いいじゃない!」・・・ じゃない!!
「秋を迎えられなかった」ことが悲しいだけ・・・・
夏が終わって秋が来た。
だから、素敵な秋が来たと言うのに・・
全く喜べない。
なおさら悲しく感じる。
多分・・・来年の今頃も、
私は同じ事を思い涙することだろう。

