幸せになるために結婚したのに・・
風邪を引いてしまった。
喉が痛く、体がだらしい。
明日になったら熱が出てきそうな・・・そんな感じがする。
こんな時、あっちゃんがいたら・・決まって・・・
理由は分からないが、いつも「のり巻き」を買って来てくれた。
枕元にポカリと、体温計を置いてくれた。
仕事から這うように帰って来て、今日はそのままベットの中へ滑り込んだ。気がついたら、この時間まで・・眠ってしまっていた。
食欲はない!
だけど、少しお腹が空いた。
枕元を見てみる。
「のり巻き」・・・
一つ・・・食べたいなぁ。
風邪を引くと、優しくしてくれる誰かが家には居た。
だから、病気になっても 安心していられた。
ドアを開けては、誰かが様子を見に来る。
それがとても嬉しかった。
だけど、
(一人じゃあ・・
病気にもなれないんだ。)
映画の中で、誰かが・・・
「幸せとは、愛する妻がいて、やり甲斐のある仕事があって、気の合う友達がいて、物分かりの良い近隣がいることだ」と言った。
ならば、その中の一つでも欠けたなら「幸せ」とは言えないのだろうか。
私は・・・
愛する夫を亡くした。
やり甲斐のある仕事は・・ある。
気の合う友達は、1人だけいる。
近所付き合いは、もっぱら義父母任せで全くしていない。出会った時に挨拶をする程度だ。
こんなんじゃ「幸せ」には、程遠いのだろうか。
益々・・熱が出てきそう・・。
「幸せ」になるために
結婚したのに!
ずっと、一緒にいられると思って
結婚したのに!
あっと、言う間に1人になって、
あっと、言う間に「幸せ」が逃げてしまった。
・・・そんな気がする。

